OKAYAMA WORK STYLE

岡 文女 さんAyame Oka

2017.12.01

織工/ホームスパン作家

好きなことならやってみればいいじゃない。
大事なのは、ぶれない自分らしさを持つこと。

写真:染色をする岡さん

生涯の仕事に選んだ“ホームスパン”

独学でホームスパン制作を始めて、かれこれ45年以上になります。ホームスパンは、羊毛を洗って染め、手紡ぎの糸で織る織物の一種。植物染料や昔ながらの織り機を使ってすべて手作業で仕上げているんですが、まあ、どの工程もとにかく集中力と根気が必要。年とともに作業ペースは落ちましたけど、糸さえ触っていればとにかく楽しいですし、何より夢中になれます。
ホームスパンは、素材の買い付けから染色、織りあげて作品にするまで全部一人でできるのが良いところ。自分の思い通りになる反面、良いも悪いもすべて自分の責任です。好きなことだけ突き詰めたい私の性分にはピッタリでしたね。そのおかげで、ずっと飽きもせずに続けてこられたんじゃないでしょうか。一つの事を続けたり極めたりできるのって、結局のところ“好きだから”ということに他ならないと思いますよ。

写真:様々な色に染色された糸

自分の色を表現するのが面白い

子どもの頃から絵が大好きで、絵描きを目指して芸大を受験したものの失敗。絵の仕事には見極めがついた一方で、興味の強かった“色”に関する事はやりたいとずっと考えていたんです。織物の世界に足を踏み入れたのは30代の時。高校生の時に染色家・志村ふくみさんの展覧会を観て、植物染めの美しさに惹かれたのがきっかけです。麻や木綿などの様々な素材の中でも、羊毛の特性や発色が一番自分好みだと分かり、ホームスパンに辿り着きました。

写真:染色に使う植物

数ある工程の中でも染色が一番楽しいです。植物染料を混ぜて色を調合するんですが、音楽で言う“絶対音感”みたいに、自分なりの“色感”というものを表現するのが実に面白くて。ただ、努力して成し遂げたというより、好きなものを追い求めてたら自然と歩く道ができたっていうのが近いと思います。そりゃあ、好きなことだから全然飽きませんよ。ここまで来たらできる限り続けて、ホームスパンの面白さをもっと知りたいです。

写真:糸をつむぐ岡さん
写真:岡さんの作品の数々

自分の好きを見つけるのが第一歩

私が続けてきたホームスパンは、再生可能な天然素材を使った自然の織物です。こうした何にも代えられない自然の魅力や手仕事の価値というものは、環境やモノの安全が叫ばれている今の時代、改めて見直されてきてるんじゃないでしょうか。私自身もナチュラル志向で、余計なものはなるべく持たない質素な生活。好きなことをして何とか食べてこられただけでも、今の生き方を選んで良かったと思えますね。それに人に作品を喜んでもらえて買っていただけることは本当にありがたいこと。日ごろからお礼を言葉にしたり、ご挨拶や贈り物の形に変えたりして、感謝の気持ちを伝えるように心がけています。

写真:作業しながら話すs岡さん

この道で経験を積んだからこそ若い人たちに言えるのは、「好きなことならいいじゃない、やってみれば」って。結局やりたいと思えないことは続かないですから。まずは、自分が一体何が好きなのかを考え、人にどう言われても「自分はこれだ」と思えるものを見つけるのが大事です。それだけは誰も代わりに探してくれませんから。自分で悟らなきゃね。そこは辛抱です(笑)。