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第4回「公協産業株式会社 小川社長×ビジネスセンター岡山株式会社 岡本社長×株式会社SWITCH WORKS 竹本代表取締役」

2015.05.25

てい談企画

第4回 次世代経営者と語る「今後の事業展開と人材育成」について

経営者の行動力=社員の行動力

人材育成てい談の第4弾。今回、積極的に社員とコミュニケーションを図ることで人材育成に取り組んでいる公協産業㈱(岡山市)社長の小川大志氏とビジネスセンター岡山㈱(同)社長の岡本匡史氏、人材育成トレーナーの㈱SWITCH WORKS(同)社長、竹本幸史氏に、経営者と社員とのコミュニケーションの取り方や幹部社員の育成方法などについて語ってもらった。

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公協産業㈱社長
小川大志(おがわ だいし)氏

赤磐市出身。1997年入社後、現場を11年経験し2008年に専務に。11年に社長就任。43歳

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ビジネスセンター岡山㈱社長
岡本匡史(おかもと ただし)氏

倉敷市出身。電気機器販売会社勤務を経て、2009年に専務として入社。14年に社長に就任。31歳

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㈱SWITCH WORKS社長
竹本幸史(たけもとゆきふみ)

鳥取市出身。元㈱リクルート岡山支社長。2013年に人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを設立。38歳

小川:仕事は結果ではなく行動を評価。雑談で社員との距離縮める

竹本 今回、2人は初対面ということですので、簡単に自己紹介をしてもらいましょう。最後に仕事で最近うれしかったことを教えてください。では、岡本さんからどうぞ。

岡本 年齢は31歳で、趣味は旅行です。あとバイクにも乗ります。最近うれしかったことは、社員から岡本社長だからついていきますと言われたことですかね。

小川 私も趣味はバイクに乗ることです。年齢は43歳。最近うれしかったことは、今年の仕事始めに工場の点検をしようと早めに出社したら、若い社員が自ら早出して点検をしてくれていた後姿を見たときです。これは本当にうれしかったですね。

竹本 岡本さんに聞きたいのですが、なぜその社員は岡本さんについていきますと言ったのですか。

岡本 前社長である私の父親は、トップダウンで仕事の手段も支持するタイプでした。私は支持されて仕事をすることが好きではなかったので、部下にも自分で考えて仕事を進めるように伝えており、それが社員にとって働きやすかったのではないでしょうか。

竹本 小川さんは、なぜ社員が率先して見回りをしたと思いますか。

小川 私も岡本社長と一緒で、仕事のやり方は社員に任せるようにしています。私が工場長のとき、当時の社長も現場の事には口を出さず、任せてくれていました。自分で考えて行動する社内風土ができていたことが一番の理由ではないでしょうか。

竹本 社員に仕事を任せることは、人材育成にとって大事なことだと思います。ただ能力の差があるため、難しいと思うのですが。

小川 確かに誰にでも任せることはできません。ただ社員には、仕事において結果だけを求めるのではく、どのように行動したかを評価の基準にしていると伝えています。できなくても取り組もうとしなければ、結果につながりませんから。

岡本 その通りですね。任せて失敗したこともありますが、私も仕事に対して前向きに取り組んでいる社員には任せるようにしています。ただ支持を待っている社員に対しては、営業先に同行し顧客とのやり取りなどを通じて、私が感じている仕事の面白さを体験させています。

竹本 人材育成は失敗の連続です。その積み重ねが会社独自の育成法の確立につながると思います。

小川 会社にとって一番必要ない人材は行動力がない人です。どれだけ高学歴でもそれを生かす行動力がなければ何もできないのと同じだと考えています。

竹本 岡本さんはどう思いますか。

岡本:同行営業で仕事の楽しさ伝える。管理職にも積極的に若手抜擢

岡本 私も行動力を重要視しています。技術者の中には、どうしても論理的に考えて自己完結し、なかなか行動に移せない人もいます。言われたことをこなす能力は高いのですが、企画提案できる人が少ない。

竹本 企画提案というワードがでましたが、リサイクル業者にとって顧客へ何か提案することはあるのでしょうか。

小川 自動車産業を中心に海外生産が進み、国内での廃棄物は減少傾向です。そんな中、新たな取り組みとして顧客に廃棄物を減らす提案をしています。回収できる廃棄物は減りますが、減らす“技術”を新事業にしていきたいと考えています。そのためには、顧客ニーズを聞き出すためのコミュニケーション能力が必要です。その第一歩として徹底しているのが従業員の身だしなみです。どんな仕事も同じだと思うのですが、社員の立ち振る舞いで会社のイメージが決まってしまいます。服装の乱れやあいさつができていない社員がいれば、徹底的に注意しています。

竹本 大切なことですね。社会人として基本的なことが身に着いていなければ、どんなに仕事の能力が高くても誰からも認めてもらえません。

岡本 私が社長になった時に「ICTで笑顔を世の中に」というキャッチフレーズを掲げました。通信やアプリなどのIT技術を介して、人と人とのつながりを大切にし、自分がかかわった人を笑顔にしていこうという思いで考えました。社員にも少しずつですが、浸透してきていると思います。

竹本 仕事に対して前向きになっていなければ、どんなに教育しても成長することはありません。そのためには経営者と社員の信頼関係を築くことが重要です。二人は社員との信頼関係を築くために何か取り組まれていることはありますか。

小川 私は普段から積極的にコミュニケーションを図って、社員からも話し掛けやすい雰囲気にしています。具体的には、私も含め各部門長に休憩時間に携帯電話を見ないように指導しています。携帯電話を見ていると、どうしても話し掛けづらいですからね。休憩時間にプライベートな話をして距離を縮めています。

竹本 そうですね。上司からプライベートなことを聞かれることで、部下は自分のことを気に掛けてくれていると感じているのではないでしょうか。企業の幹部研修で感じることなのですが、業務コミュニケーションだけを求める人が多いように思います。仕事にとって大事なのはプライベートなことを含めた精神的なつながりを深めるコミュニケーションです。それがチームワークとなり、会社全体の業務効率化につながっていくのです。

小川 よりチームワークを高めるため、社員と一緒にツーリングやキャンプに行くなどの取り組みも積極的に実施していますよ。

竹本 よい取り組みですね。そういった環境で仕事ができることは、社員もうれしいのではないでしょうか。上司と部下のきずなを深めることが、社員自ら行動する原動力になっているのですね。

岡本 当社も年に3回、会社の会議室を使って懇親会を開いています。また社員旅行やボウリング大会なども実施し、交流を図れる機会をつくっています。こういう場を設けることで、上司と部下が仕事以外の話で盛り上がることができるのだと思います。仕事中はどうしても業務連絡のみになってしまいますからね。私自身もサラリーマン時代は、上司とプライベートな話はまったくしませんでした。

竹本 変わったきっかけがあったのですか。

岡本 社長になって分かったことですが、やはり部下が上司に心を開くのは難しいのだと思います。そこに気付いて、自分から話し掛けるように心掛けていますね。

竹本 経営者も一人の人間です。社員に対して厳しいことをいうばかりでは、誰も従ってはくれません。時には冗談を言って一緒に笑うことで、親近感がわき、それが会社への忠誠心につながってくるのではないでしょうか。

小川 部下との信頼関係づくりには良い意味での“ギャップ”が必要だと部門長によく話をします。

竹本 人材育成はコミュニケーションのメリハリが重要ということですね。では、今後の課題はありますか。

小川 当社は若返りを図ったため、30~40代が中心の会社となっています。そのため、若手が会社を引っ張っていくという意識付けをどうやって浸透させるかが課題でしたが、ある程度業務の権限を委譲したことで自ら行動する姿を見るようになり、最近ようやく浸透してきたことを実感しています。今後はもっと高い意識を持って業務に取り組めるよう、指導していこうと考えています。

竹本 権限委譲を図ったきっかけは何だったのでしょう。

小川 仕事をする中で、現場のことはその担当者が一番理解していると考えています。仕事を進めるたびに、上司に報告していては前に進まないこともよくあります。大きな問題がなければ、事後報告でいいと思っています。また産業廃棄物に関する知識向上を図るため、昨年から定期的にテストを実施しています。個人の点数ではなく、部署ごとで平均点を開示して、競争意識を高めるようにしています。知っていると思っていても、意外に忘れていることが多いですからね。

岡本 当社も30代が中心の会社です。その上の世代には30代がしっかり動けるようにフォローしてほしいと伝えています。役職についてもどんどん抜てきしています。またモチベーションアップのため、運用部など数字に表れない部署の評価にも力を入れています。それによって、やる気を持って仕事に取り組む社員が増えてきました。

小川 当社も無事故無違反など表彰制度を設けています。営業部は新規顧客開拓数によって表彰しています。社員にとってはやりがいにつながりますからね。

竹本 表彰制度を利用して、頑張った社員を認めてあげることは大切です。人は認められることで、さらに高い要望に応えようとします。課題や問題点ばかりを指摘するだけでなく、まずは小さくてもできたことを評価することが重要です。

小川 確かに向上心や積極性が出ていると思います。ただ現状に満足することはありません。何事も常に向上心を持って、社員と一緒に会社を良くしていきたいと思います。

岡本 まだできていない部分も多いですが、事業の方向性に加え、予算管理や人材の育成計画などを含めた経営計画を明確にしようと考えています。社員に対して、会社の方向性を明確にすれば、自分に何が求められているかも分かってくると考えています。

竹本 2人ともどんどん新しいことにチャレンジしていますが、変化に対して不安を感じることはないですか。

小川 管理職になったころは社内規則があまり明確ではなかったこともあり、変えるというよりも新たに構築してきたというのが実情です。一から構築していく苦労はありましたが、笑顔のある働きやすい職場にしたいという思いでやってきました。その思いが伝わり、社員もついてきてくれるようになりましたね。

竹本 ゼロベースで物事を考えたことが良い方向に進んだのでしょうね。過去をベースにしてしまうと、どうしてもそれに縛られてしまうことがあります。

岡本 当社は新規事業部があるのですが、その部署にはなるべく社歴の浅い人を配属するようにしています。新しいアイデアを出すために、経験が邪魔になることもありますからね。

竹本 では最後に今後の事業展開について教えてください。

小川 私が社長に就任した時、何より社員を大切にしたいという思いから「企業は人なり」ということを念頭に掲げました。社員に対しては、一人ひとりが会社にとって“人財”になってほしいと伝えています。その思いを貫き、これからも職場改善を進め、新事業を展開できる基盤を固めていきたいと思います。

岡本 西日本での事業を強化するため、今年3月に高松に営業所を立ち上げました。今後も西日本を中心にシステムの開発や運用業務などを展開していきたいと思っています。またエンドユーザーをメーンに企画から運用までを提案できるようにしたいと考えています。

株式会社瀬戸内海経済レポート「週刊VISION」 2015/5/25発行号 特集企画より抜粋した記事を編集しております。