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第3回「友野印刷株式会社 友野常務×ダイヤ工業株式会社 松尾本部長×株式会社SWITCH WORKS 竹本代表取締役」

2015.03.16

てい談企画

第3回 次世代経営者と語る「今後の事業展開と人材育成」について

明確なビジョンで意識改革促す

人材育成てい談の第3弾。今回は、新しい事業を進める中、人材育成の課題にも取り組もうとしている友野印刷㈱(岡山市)常務の友野宏史氏、ダイヤ工業㈱(同)本部長の松尾健哉氏と、人材育成トレーナーの㈱SWITCH WORKS(同)社長、竹本幸史氏に、経営者と社員とのコミュニケーションの取り方や幹部社員の育成方法などについて語ってもらった。

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友野印刷㈱常務
友野宏史(ともの ひろし)氏

岡山市出身。広島県の製版会社で2年半勤務した後、1997年に入社。2008年から常務取締役を務める。40歳

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ダイヤ工業㈱本部長
松尾健哉(まつお けんや)氏

岡山市出身。歯科用ソフトウエア販売会社勤務を経て、2006年に入社。11年に取締役本部長に就任。36歳

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㈱SWITCH WORKS社長
竹本幸史(たけもとゆきふみ)

鳥取市出身。元㈱リクルート岡山支社長。2013年に人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを設立。38歳

竹本 まずは両社の現状について聞きたいと思います。

友野 今でも、印刷会社は機械を稼働させているだけのイメージがあるかと思いますが、実際は、ほぼ全ての工程がデジタル化されており、特殊な技術も今では進化した機械により効率化されています。

竹本 松尾さんは、コルセットやサポーターなどの開発、製造、販売していますが、メーカーとしてどう他社との差別化を図っていますか。

松尾 当社は、全国の整骨院がターゲットになります。そこに通っている人は、一人ひとり体型も違えば、症状に対するアプローチもさまざまです。それに対応することを目指し、他社では決してできないオーダーメードシステムを現在稼働させています。昨年9月にオープンした新社屋「ロコステ」は初の直営店を設けていて、オーダーメードに対応しています。

竹本 友野さんは、何か他社との差別化に取り組んでいますか。

友野 現在は、企画、デザインから印刷、製本までトータルで業務を行っています。特に、お客様からのさまざまな情報を加工し、印刷、ウエブなど、より最適な情報伝達方法の提案に力を入れています。そのほかにも医療系イメージ写真素材集DVD、インターネットで作成できる卒業アルバムなど長年培ってきた印刷テクノロジーに情報処理技術をミックスさせ、新しいサービスをつくり出し、提供しています。

竹本 デジタル書籍化が進んでいますが、どう対応しているのでしょうか。

友野 印刷物がなくなることはないでしょうが、減少することは間違いありません。そのためにわが社も印刷物の電子書籍化に取り組んでいます。2013年に岡山の公的情報を集めた電子書籍のポータルサイト「okayama ebooks(オカヤマイーブックス)」を開設しました。これは自治体が発行する広報誌やパンフレットなどの印刷物を電子書籍化し無料で公開するもので、パソコンやスマートフォンで閲覧でき、日々の生活や観光など役立つ情報を提供しているサイトです。まだ始めたばかりで利益にはつながっていませんが、わが社の中期経営計画スローガンでもある「チャレンジ&イノベーション」の精神で取り組んでいます。

竹本 会社案内など営業ツールの電子化依頼などはないのでしょうか。

友野 最近増えていますね。昨今、各企業の営業ツールをペーパーレス化する動きは進んでいます。また顧客からの要望で、情報の表現方法も多岐に渡っています。こうした変化に対応するために、会社全体の取り組みを進化させていかなければなりません。印刷、情報技術、生活環境などに加え、新たなソリューション開発も視野に入れたビジネス展開を進め、より専門性を高めています。

友野:全社員一丸で知恵出し対応。顧客に喜ばれるソリューション提案

竹本 ダイヤ工業でのオリジナル用品開発はどういったものがあるのでしょうか。

松尾 2009年に筋肉の動きをサポートするマッスルスーツ「DARWIN(ダーウィン)」シリーズを開発しました。高齢者の転倒防止策の一つとして企画した商品です。そのほかに、建設作業員の動作や日常的に疲労や痛みを感じる箇所を分析し、サポートすべき作業姿勢や筋肉部位を定めた「職人DARWIN」をつくるなど、他社にないものづくりを進めています。

竹本 既存事業をベースにして新しい企画を検討しているのですね。

友野 松尾さんの会社には新商品開発部があるのでしょうか。

松尾 ありますよ。当社の商品開発のプロセスは、各営業担当者が取引先から聞いてきた課題などを検討し、その案件を商品化につなげています。

友野 当社は新規事業を検討する部署として、2013年に経営企画室を立ち上げました。現状の技術や能力を生かし、何ができるかを検討しています。先ほど話した「オカヤマイーブックス」も経営企画室で立ち上げた事業です。

竹本 ここ数年、新しい事業を検討するための部署を設ける企業が増えています。部署を立ち上げるために、社外から人材を呼んでくる会社もありますね。また今いる従業員のみで立ち上げる場合は、人材育成の一環で人員を入れ替えながら取り組む会社もあります。ただその場合、通常業務と兼務にすると思うように進まないことが多いので、専任させるほうがよいでしょう。

友野 現在、一部の部署は兼務にしていますが、竹本さんの言われる通り、将来的には採算が取れる独立部署にしたいですね。

竹本 人材育成についてはどうでしょうか。

友野 具体的に取り組んでいる人材育成はないですが、今後取り組む予定です。

松尾 わが社は必ず毎年新卒採用することにこだわっています。新人も1年経てば次の年には先輩になります。私は後輩ができることで成長する部分が大きいのではないかと感じています。そのほかにも入社2年目から実施する研修やベテラン研修まで、仕事に向き合う姿勢やさまざまなスキルアップと、人材育成にはかなり力を注いでいると自負しています。

竹本 話を聞いていると両社とも業務を通じた従業員教育に力を入れていると感じました。

友野 そうですね。近年、業務範囲の幅が広がってきており、それに合わせた内容に見直す必要あると感じています。組織が機能していくには、各役職者が自分の職務職責を理解し行動していく必要があると感じています。

竹本 一つ質問です。経営者が求めている内容と従業員が考えているものとのギャップは埋まると思いますか。

友野 一般社員が経営者と同じ考えを共有することは難しいと感じるので、私は埋まらないと思います。

松尾 経営者の視点に近い考え方をする社員もいます。そういった人材をどうやって社内で活躍してもらうかが重要だと思います。

竹本 社員が経営者と同じ意識で仕事に取り組んでいれば、どんどん自分の考えを提案してくると思います。ただそこまで意識の高い社員はあまりいません。ではどうすればいいのか。経営者が各社員に対して何を求めているかを明確に伝えることです。能力ではなく、意識の問題なのです。行動力のある人材を増やすことが会社の成長につながります。経営者や一部の幹部社員だけが新事業を考えるのは限界がありますからね。

友野 その通りです。私一人で考えても良いアイデアが生まれるわけではありません。社員や外部の人と交流するなど、新しい価値観に触れることで新事業の糸口に気付くのだと感じています。

松尾 私は社員に対して仕事に対する洞察力を高めてほしいと伝えています。例えば、顧客のちょっとした変化に気付くことが、新商品開発へのアイデアにつながっていくのだと思うのです。

竹本 何も考えず取引先に訪問して、仕事をもらえるわけではありません。そういった視点で仕事に取り組めば、新しいアイデアが生まれやすくなると思います。

友野 気付く力は大切ですね。私自身もこれから気を付けて業務に取り組みたいです。

松尾:顧客ニーズを基に商品化進める。社員の「洞察力」高めたい

竹本 2人は社員とのコミュニケーションをうまく図れていますか。

松尾 どうでしょうか。上手にコミュニケーションできていると思いたいですね。

竹本 考え方としては、気軽に話し掛ければいいと思います。それこそ、社員のちょっとした変化に気付いて、それをきっかけにコミュニケーションを図ることを積み重ねれば、社員が自ら行動しやすい雰囲気をつくれるのではないでしょうか。

友野 当社では、休日を利用してさまざまなイベントを計画、実施しています。例えば、マラソン大会参加や登山、野球チームもあります。少しでも連帯感を高められればと思っています。また、できるだけ部署内を回って話し掛けるようにしています。

竹本 いいことですね。仕事に対する高い意識と家族のような一体感を両立させることは難しいですが、それを実現させることも経営者の重要な仕事だと思います。

松尾 私も社員とスポーツジムに通っています。一緒に汗を流すことで、会話も弾むので今後も続けていきたいですね。

竹本 では、幹部社員の人材育成についてはどう考えていますか。

友野 幹部社員については、私と年齢が近い人が多く、ビジネスに対する価値観が同じという事が必要と思います。
一緒に取り組んで行く上で、同じ方向を向いていたいという考えです。

竹本 社外から人材を招いたことはないのでしょうか。

友野 過去に取り組んだことがあるようですが、どの程度成果が出たのかは分かりません。

竹本 会社には、事業を進める中で培った仕事に対する取り組み方などの風土があります。それを改めようと考えているのなら、社外から新しい人材を入れることもいいでしょう。ただ何を変えたいのかなど目的を明確にする必要があります。では、最後に今後の目標について聞かせてください。

松尾 サポーターなどのオーダーメードには今後も力を入れていきたいと思います。またこれからも顧客からのクレームや意見に耳を傾けて、それを商品化につなげたいと思っています。そのためには、社員一人ひとりの気付く力を向上させることだと感じています。また地域住民に会社のことを知ってもらおうと1月に新社屋でイベントを開催しました。今後も定期的に実施して、地域のために貢献できる企業を目指したいです。

友野 印刷もIT化が進み、よりお客様に喜んでいただくためには他社との差別化が必要です。そのためには品質、納期、価格、サービスなどお客様に寄り添った提案をする「ソリューションプロバイダー」であることだと考えます。どうすれば喜んでもらえるかを全部署で取り組むことが重要です。ただ実現するには時間がかかるでしょうし、1人でできることにも限界があります。全社員で知恵を出しながら、取り組んでいきたいと思っています。

株式会社瀬戸内海経済レポート「週刊VISION」 2015/5/25発行号 特集企画より抜粋した記事を編集しております。