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【竹本塾No.30】組織開発の重要性

2020.02.05

コラム

「なかなか人材育成で成果が出ない」という声を経営者のみならず、人事担当者からもよく聞きます。その時は「組織開発」という視点を話すようにしています。今回は組織開発と人材育成との違いを通じて、その内容を具体的に話したいと思います。

組織開発と人材開発の違い

人材開発が着目するのは「その人」「個人」であるのに対して、組織開発が対象とするのは人と人との「関係性」になります。この関係性の変化が組織を変化させていくという考え方になります。

具体的な例を見ていきたいと思います。

「営業マネジメント力の強化」という課題があったとします。

人材開発のアプローチでは、マネジメントする立場である社員本人に問題があると捉えます。そのため、本人に対して「マネジメント研修」や「モチベーション研修」といったような対策をします。

これに対し、組織開発のアプローチでは、本人とその職場メンバーとの「関係性」に問題があると捉えます。そして、その関係性の改善を図ります。

マネージャーと部下の間で協力関係が築けていなかったり、期待する目標や課題認識にずれがあったりすることが多いためです。

施策としては個人に対する研修等ではなく、本人と組織メンバー全員参加のワークショップを通して、ファシリテーションして問題点を浮き彫りにしたり、組織の間でコミュニケーションを活発化させるようにコーディネートしたりします。

関係性に良い変化を起こそうとすることが、組織開発型のアプローチです。

組織開発の重要性.jpg

若手社員の早期戦力化という課題

若手社員の早期戦力化という課題があるとしましょう。人材育成のアプローチでは、まず本人に問題があると考えます。またその上司の部下育成に問題があると考え、指導するかもしれません。これに対して、組織開発のアプローチでは、本人と上司、職場メンバーとの「関係性」に問題があると考えます。そしてその関係性の改善を図ります。本人と上司で相互に期待をすり合わせるミーティングをコーディネートし、職場メンバー全員参加のワークショップを推進することを通じて、関係性に良い変化を起こすのです。これが組織開発アプローチの特徴です。若手社員の早期戦力化という問題に対し、アプローチの仕方を変えることで解決するのです。

3つの取り組み

では、具体的にどのようなプロセスをたどれば、組織開発を実現できるのでしょうか。次の3つのことに取り組む必要があると考えます。まずは組織のパフォーマンス向上に貢献するために、組織開発が人事担当者の新たな役割であると認識させること。次に現場の事実を収集するために、インタビューや意識調査など複数の情報収集手段を活用できるよう準備すること。最後に、職場や組織にダイレクトに介入する場面に設け、コーチングやファシリテーションスキルを強化することです。

人材育成の進化は、組織開発へのチャレンジから始まる

ただ人材育成と組織開発のどちらのアプローチが正解かという考え方はよくありません。両方をうまく組み合わせて柔軟に対応していきましょう。複雑な課題であるほど、一つのやり方だけでは解決できません。人材育成のさらなる進化は、組織開発へのチャレンジから始まるととらえてみてはどうでしょうか。

働き方改革をするためには組織開発が必要

昨今の職場では、雇用形態も働き方も価値観も多様化しています。一方で、「この仕事ができるのは私だけ」というような"個業化"も進んでいます。ITツールの発達は対面でのコミュニケーションの場を減らしています。変化が激しく将来の見通しが立ちにくい状況は、職場の一体感を醸成しにくい方向に作用します。 そして、人手不足が常態化する中、「ビジョンの明確さ」「人間関係の良好さ」などの組織コンディションが、人材の採用や定着において、ますます重要度を高めています。

このような環境によって、バラバラになりがちな組織を機能させ、組織コンディションをより良くしていくための継続的な働きかけである「組織開発」に注目が集まっています。

「働き方改革」を実施するためには、「組織開発」が必要不可欠となります。