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【マネジメント④】部下の心が奮い立つ!職場の4つの人間関係【第3位】
2022.04.26
竹本図書館
「インナーワークライフ」が高まる3要素ランキング
前回までの記事で、部下を持つマネージャーが本当に注目すべきものとはインナーワークライフであるとの話をいたしました。

本著では、マネージャーが社員のインナーワークライフを高めるために最もすべきことを「チーム・部下にとってやりがいのある仕事が、毎日少しでも進歩するように支援すること」であると結論をだしています。
しかしこの一言だけではイメージが難しいため、今回は社員一人一人のインナーワークライフを高めるためにマネージャーは社員に一体何を与えるべきなのか、3つの要素をランキング形式で紹介いたします。
今回は第3位を紹介いたしますが、どれも非常に上に立つものとして大切な内容ですので、ぜひ今の自分が出来ているか、足りない点はないか思い返しながら読み進めてみてください。
第3位:栄養ファクター
〇どういったものなのか?
栄養ファクターとは、仕事を行う人の心を奮い立たせる、元気にしてくれる対人関係の出来事です。

皆さんも上司に励ましてもらったり、意中の想い人に応援してもらったり、お客様から心からの感謝をいただいたりした時に、喜びと共に活力を感じた経験はございませんか?それらのような人間関係から得られるポジティブな要素をまとめて栄養ファクターと呼びます。
最近よく「人間力」という漠然とした言葉が用いられますが、これは上手に栄養ファクターを与えられる人である、と言い換えてもよいと思います。
ただ、これだけではまだ全体像がつかみづらいため、続いて栄養ファクターを大きく4つに分類していきましょう。
〇部下の心が奮い立つ4大栄養素
1.尊重

まず一つ目は「尊重」です。これは何も相手を無理やり尊敬しろというわけではなく、相手・部下と誠実に接することや基本的な礼儀正しさを忘れないことです。
当たり前のことに感じますが、接する時間が長くなればついおざなりになってしまうのが人間関係というものです。「親しき中にも礼儀あり」という言葉が今に受け継がれているのは、それだけ失敗する人が多いからなのです。
また尊重は、正しく評価をすること、部下の努力を認めて伝えること、部下のアイデアや考えに真剣に耳を傾けることなども含まれます。どれも忙しく自分のことで手一杯になると、つい雑な対応になってしまいます。人はマイナスに感じたことのほうがより鮮明に記憶するので、意識して気を付けるとよいですね。
2.励まし

2つ目はわかりやすい「励まし」です。ただ「がんばれ」と言うだけでなく、次のポイントを押さえるだけで、受け手にとっては大きなモチベーションの向上につながります。
そのポイントとは一言で「部下の能力への信頼を示す」ということです。例えば「この仕事は君だからこそ任せることができる」といった言葉かけのようなものですね。自分が認められている、信頼されているという感覚は大きな自己効力感を生みます。伝える側にとっては何気ない言葉でも、向け手にとっては大きな支えになるのです。
また、部下に任せている仕事の重要性について言及することも効果があります。注意点としては、プレッシャーをかけるためではなく、「その重要な仕事を任せられるだけ期待している」と伝えるために励ましてみてください。

3.感情的サポート
3つ目は「感情的なサポート」です。要は部下の感情に寄り添う、共感することなどのことです。
前回の記事で取り上げたように、インナーワークライフの3要素のうち1つは「感情」です。感情は常に安定できるものではなく、外部からの影響で簡単にぐらついてしまうものです。その分、同じように外部から感情をサポートしてもらえるだけで持ち直すことができるため、マネージャーが部下にとっての一時的なオアシスのような存在になることには大きな価値があります。

4.友好関係
最後は友好的な関係を築くことです。これは言うまでもありませんね。
これはマネージャーと部下との間だけでなく、チームのメンバー同士の関係もまた同様です。
〇リーダーは何をすべきなのか?

リーダーやマネージャーは、部下にこれら4大栄養素を与えると共に、チームメンバー同士が互いに与えて支えあう風土を築き上げることが求められます。
「言うは易く行うは難し」という言葉があるように、実際に日常的に行うことは思う以上に難しいと感じるかもしれません。しかし、習慣的にできるようになれば部下のモチベーションや仕事の成果が高まるだけでなく、シンプルに魅力的な人物になり人として好かれることにもつながります。
ぜひ意識して行動してみてください。
次回は、これらの栄養ファクターを超えて大きな影響を与える第2位「触媒ファクター」ついて解説していきます。
【主要参考文献】
『The Progress Principle(和訳:マネジャーの最も大切な仕事―95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力)』,
テレサ・アマビール&スティーブン・クレイマー著,中竹竜二 (監修), 樋口武志 (翻訳),英治出版,2017年