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【マネジメント⑤】仕事の進展とモチベーションが同時に高まる7要素【第2位】

2022.04.28

竹本図書館

「インナーワークライフ」が高まる要素、第2位

 前回までの記事で、部下を持つマネージャーが本当に注目すべきもの「インナーワークライフ」、それを高めるポイントとして人間力の本質ともいえる「栄養ファクター」の解説をしました。

今回は、第3位の栄養ファクターを上回る効果がある第2位「触媒ファクター」の解説を行います。

第2位:触媒ファクター

〇どういったものなのか?

 触媒ファクターとは一言で「仕事を直接支援する出来事」のことを指します。

要は部下たちにとって仕事が進むようになるサポート等全般のことです。これも範囲が広く、何から手を付ければよいのかがあいまいなため、大きく7つのポイントに分解して紹介していきます。

7大触媒ファクター

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①明確な目標の設定

 まずは部下にとって、自分の行う仕事がどこへ向かっているのか、なぜこの仕事が重要なのかが明確にわかることは大きな意味があります。

目標とは具体的な道しるべとなりますので、短期・長期で明確な目標を設定することは、仕事をするうえで大きな役割となるのです。

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②自主性を部下に与える

自主性とは「自主的にがんばれ」と上司が押し付けるものではなく、「自分の仕事に意見する権利や、仕事のやり方を自ら決められる裁量権」のことです。この裁量権は、やる気とも非常に密接にかかわる要素と言われており、企業を対象とした学術的な研究でも就職先選びの際にとても重要な判断材料になると指摘されています。

重要なのは、自分の決断が重んじられている感覚であるので、部下を率いる際は雁字搦めにするのでなく、裁量権をどうするか意識してみてください。

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③リソースの提供

 リソースはそのまま人材や費用などの意味です。これは当然でありわざわざ取り上げる必要があるのか疑問に感じるかもしれませんが、ここで重要となるのはチームが仕事や組織に対してどのような認識をするかということです。

今回の調査を通して特に強調されていることは「経費削減、特に人材の削減は長期的にはほとんど成功につながることはない」ということです。リソースを提供されたことを通して、社員は「プロジェクトの成功への自信や確信」や「組織が自分たちの仕事を重要視しているシグナル」であると認識しているのです。

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④十分な時間の提供

 誰もがわかると思いますが無理な時間制限や急な納期変更は、部下の働く気力をそぎ落としていきます

ただ与えすぎもあまり良くなく、適切な時間のプレッシャーがある状態が理想的であるといわれています。

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⑤仕事への手助け・サポート

 現代での仕事は複雑化しているため、一人だけで何もかも解決することは非常に難しい時代になっています。そのため仕事の達成には組織内からのサポートは不可欠な存在です。

興味深いことに、適切な人から適切なタイミングでサポートを得られた人は、実際に仕事にサポートの恩恵が発揮される前からインナーワークライフにポジティブな影響が表れていることが確認されています。

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⑥問題や失敗と成功からの学習

 仕事で問題が起きた際、きちんと問題と向き合い分析をして、乗り越える計画を立てたり学びを得られたりしたときにインナーワークライフは大きく向上します。

これを行える組織を作るには、失敗を避けるよりも、失敗を認めて正しく向き合おうとすることをリーダーが奨励し、自らの言葉と行動で示すことによってはじめて形作られます

組織が失敗をどのように認識し対処するのかについては『心理的安全性』という概念で深く取り上げられています。こちらの紹介もまた別の機会に取り上げたいと思います。

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⑦自由活発なアイデアの交換

 チームの生産性やインナーワークライフの状態は、プロジェクトについてのアイデア・意見や考えがチームや組織内で自由に飛び交う時に最も高まっています。

この状態をつくるためにマネージャーは、社員たちに心から耳を傾けて、メンバーが様々な観点をもって熱心に議論し合うことを後押しすることが求められます。さらにはチームや組織内で、アイデアをより良い物にするためにする批判=「建設的な批判」の存在を尊重する風土を築くことが重要ともされています。

〇リーダーは何をすべきなのか?

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 リーダーやマネージャーはこれら7つの観点に注目して、部下やチームメンバーに触媒ファクターを提供することが求められています。これを行えばインナーワークライフの向上と共に、仕事自体にも直接良い影響があるため、二重でポジティブな効果が表れます

 

またインナーワークライフに関しては、組織全体や経営陣よりもチームリーダーのほうが大きな影響力を持っています。そのためチームリーダーがとるべき行動について、次の4つが挙げられています。

・どのような形であれ、チームの仕事に関係ありそうな情報を定期的に集めること

・プロジェクトの重要な決断をする際は、チームも参加させること

・プロジェクトの助けとなるチーム外との人々と関係を構築すること

・プロジェクトを売り込む。脅威にさらされたときは前に立ち戦うこと

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これらを超える1位は本当に存在するのか?

今回紹介した内容は皆さんにとっても重要な内容であることは納得いただけると思います。しかし同時に「これ以上のものがあるのか」と疑問に感じられませんか?

真にインナーワークライフを高めるものは調査においても、多くの有能なマネージャーたちが軽視していた内容で、最重要視していた割合は全体のほんのわずか5%しかいなかったのです

次回は本当に最もマネージャーが注視すべき第1位を解説いたします。

【主要参考文献】

『The Progress Principle(和訳:マネジャーの最も大切な仕事―95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力)』,

テレサ・アマビール&スティーブン・クレイマー著,中竹竜二 (監修), 樋口武志 (翻訳),英治出版,2017年