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早期離職防止のための組織マネジメント【竹本塾 人材育成のタネvol.46】
2025.10.10
- 竹本塾・竹本図書館
【この記事を読むと分かること】
- 中小企業で早期離職が起こる主な理由
- 入社後3カ月の「オンボーディング期間」の重要性
- 離職率を左右する直属上司との関係性
- キャリア展望を描ける環境づくりの必要性
- 組織マネジメント改善が早期離職防止につながること
【前半】
■ 早期離職に悩む中小企業の現実
新卒や中途採用を問わず、入社から3年以内の早期離職に悩まされている中小企業は少なくありません。
せっかく貴重な人材を確保しても定着せずに退職してしまうことで、
- 採用コストの損失
- 生産性の低下
- 既存社員の士気低下
といった負の連鎖を招いてしまいます。
では、どうすれば早期離職を防げるのでしょうか。
■ 早期離職の背景にある「組織マネジメント」
厚生労働省の調査によると、早期離職の主な理由は以下の通りです。
- 思っていた仕事内容と違った
- 職場の人間関係が合わなかった
- キャリアの展望が描けなかった
- 評価が不透明・納得できなかった
- 上司との関係に不満があった
これらはいずれも「働く環境」と「マネジメントのあり方」に深く関わっています。
単に待遇や業務内容を見直すだけではなく、「この会社で長く働きたい」と思わせる組織づくりが不可欠です。
■ 鍵となるオンボーディング期間
入社後の3カ月は「オンボーディング期間」と呼ばれ、職場に馴染むための重要なフェーズです。
この時期に適切な支援がなければ、
「自分は歓迎されていないのでは?」「この会社でやっていけるだろうか」
といった不安が高まり、離職リスクが一気に高まります。
【効果的な施策の例】
- 担当メンターや相談役の設定
- 日々のちょっとした変化や悩みに気づける1on1面談の実施
- 組織や業務の背景を丁寧に説明する組織風土づくり
- 初期の成功体験を作れる業務の割り当て
【後半】
■ 上司との関係性が離職率を左右する
「上司が原因で辞める」とよく言われるように、直属上司との関係性は離職率に直結します。
特に地方の中小企業では、職場が狭い分人間関係の密度が濃いため、良好な関係性は心理的安全性を高めます。
ポイントは「指示命令型」ではなく「対話型」のマネジメントです。
- 感謝やねぎらいを言葉で伝える
- 意見を求める姿勢を持つ
- 長所や得意分野を認めた上で成長を支援する
■ キャリア展望を描ける職場へ
「ここで働き続けたらどう成長できるのか」
これがイメージできない職場では、早期に転職を考えるのも自然なことです。
特に若年層ほど、働く目的や将来像に敏感です。地方の中小企業は大企業に比べ、キャリアの多様性が見えにくい傾向があります。
【必要な取り組みの例】
- キャリアステップの見える化
- 期待していることを個別に伝える面談機会
- 先輩社員が語るロールモデル機会の提供
「ここなら自分らしく成長できる」と実感できれば、早期離職は大幅に減少します。
■ 組織力で未来をつくる
早期離職は社員の資質の問題ではなく、受け入れる側の「組織力」の課題です。
だからこそ、組織マネジメントを見直すことで離職率は大きく改善します。
大切なのは、社員一人ひとりを短期的な労働力ではなく「共に未来をつくる仲間」として捉えること。
その意識を持ち、組織として迎える準備と信頼の育成を進めれば、
早期離職防止だけでなく、社員の活躍と企業の成長につながっていくはずです。